Month: March 2021

世界一恵まれている日本の育休制度

私が育休を取得してから6ヶ月が経ち、今週、息子が6ヶ月の誕生日を迎えました。 この時期、日本で働いていて本当に良かったことを実感しています。 なぜなら日本の育休制度は世界で一番恵まれているからです。 多くの人はこの優れた制度のことを知らないのか、知っていても使えない現状があるのでしょうか。私の知る限り余り利用されていないからです。 日本の育休制度に関する3つのポイント 180日間、月給の67%に当たる金額が育児休業給付金として日本政府から支払われる。(但し、一定以上の月収がある場合は定められた限度額までを支給) 育児休業期間中は雇用保険などの社会保険が免除となる (このため実質的に受け取れる金額は毎月支給される給料の8〜9割となる。生活資金に大きな不安がなく育児に専念できる) 育児休暇は女性、男性共に12ヶ月間取得可能 かけ離れた実態  男性新入社員の80%が育休を取得したいと思っている  父親の育休取得率は2020年ではわずか7%の取得にとどまっている  日本政府は2030年までに男性育休取得率30%を目指している 私は日本の男性が普通に育休を取り、この制度を利用することで日本の企業を活性させる起爆剤になると信じます。それは、企業にとっても大きなメリットがあるからです。一つは休業中の保証は国が見てくれるからで企業の金銭的な負担はないからです。そして、育休制度を積極的に取り入れる企業は「人に優しい会社」として社会に認められ、将来親になる人たちにも選ばれるでしょう。そうなれば、企業イメージは高まり、当然企業収益に反映されるからです。 人口減少の解決も? その結果、日本経済に深刻な影響を与える人口減少問題の解決の突破口になると信じます。 なぜかと言いますと、夫が家事育児に時間をかければかけるほど第二子が以降が生まれてくる可能性が高くなるからです。 厚生労働省「21世紀成年者縦断調査」によると、休日に夫が家事育児を6時間以上行う夫婦では、87%の割合で第二子以降が生まれてくるそうです。 つまり、夫がワークライフバランスを確保し、家事育児時間を十分に取ることができれば第二子以降が生まれる確率が高くなるのです。 今後の課題 しかし、実際次のような大きな課題が存在しそれを解決しなければ「人に優しい社会」の実現や「人口減少問題」の解決は難しいのです。 なぜ、多くの人がこの優れた制度を利用しないのでしょうか? どのくらいの人がこの制度のあることを知っているのでしょうか? どこにどうやって申請すれば良いのでしょうか? 80%の男性が育休を希望しているのに、なぜ取得率が7%にとどまっているのでしょうか? 国として2030年までに男性の育休取得率を30%まで引き上げたいのに、なぜこの制度の積極的な広報活動や企業側に指導を行わないのでしょうか? この制度を利用することには大切な意味があります。日本で働いている男性の皆さん、育休を取得したいと考えていたら、少し勇気を持って会社に交渉し実際に取ることをお薦めします。それがあなたがた自身の生活を豊かにし、「子育て」という親としての大切な役目を果たすことができるからです。 これからは、日本が抱える育休に関する課題を少しでも解決できるような活動をして行くつもりです。 (参考文献:小室淑恵、天野妙「男性の育休」)

学校では教わらなかった大切なこと

早いもので2月も終わり、待ちかねた春がもうそこまで来ています。 2月はジェンダーに関する大きなトピックがありましたね。東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の女性蔑とみられる発言が世界にも配信され、想像以上に大きな反響が起こりました。ジェンダー格差というものを日本では今までほとんど意識せず、事の重大さを知って初めて自覚した人も多かったのではないでしょうか。 ジェンダー格差のことは本来、学校で教えるべき大切なことなのに、どうして今日まで何もなく来てしまったのでしょうか。少なくとも、私が学生の時は学びませんでした。 では「誰がどのように、いつ、適切に教えたらよいのだろうか?」と言う課題が浮かび上がってきました。 実は先日、京都精華学園中学・高校の教員から依頼があり「ジェンダーの固定概念」についてオンラインセミナーを開催する機会をいただきました。そこで今回のメルマガはそのセミナーの内容の一部を書いてみたいと思います。 「男子」と「女子」って何だろう? まずはこの質問からはじめました。参加した生徒に「男子」や「女子」と聞いて何を思い浮かぶかを書いてもらいました。するとこの様な答えが返ってきました。 男子: 責任感がある スポーツができる 女子: 整理整頓が得意 家庭的 その後に、「ジェンダー平等」とは何でしょうか?と聞いたところ、教室は急に静かになりました。そもそもジェンダーって何だろう?と思った生徒も多かったと思います。 「学校では教わらなかった大切なこと」としてジェンダー教育について少し触れましたが、私はこれを性教育とは分けて考えるべきだと思っています。 ジェンダーとは「社会的、文化的に形成された性別」のことで、身体的な男女の違いではなく、社会の中の男女の差を意味します。日本ではこの「社会的性差」と「生物学的性差」を一緒に考えてしまう傾向にあり、社会が一般的に考える「男らしさ」や「女らしさ」は生まれ持ってきたものだ、と考えている人があまりにも多いことに驚きを感じています。 ジェンダーに対する固定概念に縛られず、ありのままの自分を表現できる社会が実現できたら、どれだけ心が解放され、より充実した人生を送れるだろうか?と生徒達に聞いてみたところ、「人のことを気にしたり、自分がどう見られているかを気にしがちですが、そのようなことは気にしなくても良いことが分かった」「自分の意見ばかりを主張するのではなく、様々な意見や思いを持った人がいることを認めることで社会は活性化していく」などのコメントを多くいただきました。 ジェンダーのことを学校で教えるべき、だろうか? ジェンダー教育は、他の教育と同じくらい学校で学ぶべき大切なことだと思います。最近ではテレビや新聞でもSDGsのことが大きく取り上げられています。ジェンダー平等もその中の一つですが、世界ジェンダーギャップ指数が日本は153カ国中121位と言う現状は真っ先に日本が取り組まなければならない課題の一つだと考えます。私は「学校では教わらなかった大切なこと」がまだまだあると思います。子供たちが小さい時からジェンダー教育を含め、それらを学校で教え始めれば家庭でもこの様な会話が形でごく自然な形で始まることを期待しています。 ジェンダーに関して私は博士号レベルの知識を持っているわけではありませんし教師の資格はありませんが、一人の親としても、できる限りこの大切なことを自分の子供はもちろん次の世代に伝えていきます。あなたも、ジェンダーの話をもっと周りの人としていきませんか。